現在「Live by The Code」(「掟に従って生きる」の意)と名付けられた最新アルバムを制作中のテラーですが、ハードコア・バンドだからきっとメンバーの人柄も極悪なんだろうな。普段から怒ってるんだろうな。信号が赤にれば「ファックユー!」と言いながらアクセルを床につくくらい踏み込んで、ラーメンにコショーかけ過ぎたら怒りのワンマン・モッシュピットで店内を粉々に破壊し、レコーディングがうまく行かない時はスタジオの機材をぶち壊して逃亡する。そんな感じで毎日を過ごしているんだろうな。怖いな。
などと思っているそこの君!それ、ぜんぜんちゃうよ。かすってさえいない(汗)。
テラーのドキュメンタリー・ビデオを見れば分かる通り、ステージ上で狂ったように暴れまくるスコット(ボーカル)も一旦ステージを降りたら気の良い兄ちゃんだぜ。レコーディングだってめっちゃ真剣にやってるし、音楽に対する真摯な気持ちはそこら辺のメタル・バンドの比じゃないぜ、マジで。(と言ってもメタルも好きなんだけど)
ちなみにこのドキュメンタリー、Keepers of The Faith 制作時に撮られたもので、スコットが自分の生い立ちやテラーを結成するまでの歴史を生まれ故郷の色々な場所に訪れながら説明してくれる優れもの。なかなか見応えのある内容なのだけれど日本語字幕が付いてない!
ということで今日は少しだけ超訳をつけながら内容を紹介しようね。過去に在籍したバンドのライブ映像も入ってるからファンは絶対見るように!
ボーカルのスコット(Scott)がオーディエンスを前に「俺達はロックンロール・バンドじゃない。クールなバンドでもない!」と叫ぶところからビデオは始まります。(0分3秒)
名曲「Keepers Of The Faith」をバックにメンバー紹介です。(0分18秒)
ボーカルのスコット(Scott Vogel)。
ドラムのニック(Nick Jett)。
ギターのジョーダン(Jordan Posner)。
もう一人のギターのマーティン(Martin Stewart)。
そしてベースのデイビッド(David Wood)。
ドキュメンタリーの序盤は、バンドの中心人物であるスコットが故郷の街を背景に生い立ちを語るところから始まります。(0分47秒)
スコットの生まれ故郷はニューヨーク州西部にあるバッファローだそうです。カナダとの国境にあるこの街、ナイアガラの滝があることで有名で冬はとても寒くなります。バッファロー・ウィングの発祥の地としても有名です。(0分49秒)
バッファローに隣接する5大湖の一つ、エリー湖でしょうか。浮かぶ氷がその寒さを物語っています。(0分51秒)
スコット:
「父親は外に女をつくってすぐに出て行っちゃったから、俺を含む3人の子供を育てるのに母親はとても苦労したと思う。当時は思わなかったけど今考えると凄い貧乏だったよ。お金がないから何度も引越ししなきゃならなかったし。その頃は、出て行った父親は再婚して子供もいたからときどき遊びにいったりしてたんだけど、母親は寂しかったんだろうな。高校の同窓会で再開した男性とほんの数か月で再婚してテキサス州のヒューストンに引っ越すことになったんだ。
いよいよ引っ越すってなった時に父親が『テキサスに行きたくなければお父さんと一緒に暮らせばいいよ』って言ってくれて、結局、妹二人は母親とテキサスへ、俺は父親の家族とここバッファローに残ることにしたんだ。
その当時はスポーツが大好きで、他の事は何も考えられないくらい熱中してたんだ。でも、一緒に住むことになった義理のアニキの影響でアンダーグランドな音楽シーンに興味を持ってからは、すっぱりとスポーツはやめちゃったよ。
最初はヒップホップやメタル、例えばメタリカとかを聴きはじめて、その後ハードコアに出会ってからはもうそれ一辺倒さ」(0分53秒)
スコット:
「ハードコアを聴きはじめたころによく通ったリバー・ロック・カフェだよ。父親が出勤する時に使う高速道路が近くを通ってるから、高速の上で降ろしてもらってここまで歩いて通ったんだ」(2分39秒)
駐車場の奥に見える陸橋がその高速道路。(2分52秒)
スコット:
「実は俺の最初のバンド、Slugfest(スラッグフェスト)もここで最初のライブをやったんだ」(3分03秒)
当時のライブ映像が残ってました。(3分12秒)
スコット:
「通い詰めているうちにここのオーナーと仲良くなって、オーナーの息子がドラム、俺がボーカル、そして俺のアニキがギターでバンドを組むことになったんだ。それがスラッグフェストだ。メンバーがオーナーの息子だってのは凄く良かった。ここで自由に練習ができたし、ライブも優先的に出してもらえたんだ」(3分41秒)
スコット:
「音楽を聴きはじめた頃はアニキに連れられて、よくパンクバンドのライブを見たよ。でもパンクの雰囲気だけはあまり馴染めなくて、影響を受けたとすればその破壊力や攻撃性の部分だね」(4分21秒)
スコット:
「父親の家から追い出されて初めて一人住まいしたのがこの家」(5分50秒)
スコット:
「仕事はタクシーの運転手をしてた」(6分07秒)
スコット:
「バッファローのメインストリート、エルムウッド通りに来たよ」(13分09秒)
スコット:
「この後ろの建物のどれだったかなぁ…思い出せないんだけど、この中に「ホーム・オブ・ザ・ヒッツ」という名前のレコード屋があったんだ。家は郊外で遠かったから誰かの車に相乗りして週2回は通ったよ。この店で最初に買ったハードコアのレコードは、シック・オブ・イット・オール(Sick Of It All)の7インチとチェイン・オブ・ストレングス(Chain of Strength)、サイド・バイ・サイド(Side by Side)、そしてノー・フォー・アン・アンサー(No for An Answer)のそれぞれ7インチをまとめて一回で買ったんだ。
それで俺の人生は決まったようなものだよ。その日を境にハードコアに夢中になった。音楽もそうだしパワーもそうだし、ファッションについても、それまでに知ってたものとはぜんぜん違ったんだ。もう秒殺だよ。一瞬で落ちた。
そしてその日からハードコアに関するモノはら何でも探したし何でも買ったね。本当に良いレコードショップだったなぁ…バンドTシャツもたくさん売っててさ。当時あの店で売ってたバンドTシャツが今手に入るとしたら、多分100枚はまとめ買いするね」(13分17秒)
スコット:
「でも残念なことにもうあのレコードショップは無いんだ。今じゃレコードもCDも誰も買わないもんな。無料でネットからダウンロードして終わりだから。あの店がもう存在しないなんてマジで悲しいよ」(14分11秒)
スコット:
「これが Buried Alive ってバンドをやってた時に住んでたアパートで、バンドメンバーのうち4人が同じビルに住んでた。女は入りびたりだったし、常に酔っぱらってるような状態でクレージーだったな。色々なバンドが泊まってったよ…バンドが解散する直前の雰囲気はあまり良くなくて、他のメンバーが「ステージであまりハードコアって言うな」とか言い始めて、興味もハードコア以外のところに向き始めてるのが分ったらツアーの最終日にバンドを辞めて、当時のガールフレンドとカリフォルニアに引っ越したんだ」(16分51秒)
スコット:
「あと2週間で37歳になる。誰かに頭を下げなきゃいけないような仕事はもう9年くらいやってない。ツアーで地球を4周くらい周ったし好きな事をして生活しているよ。たくさんのミュージシャンがシーンに登場しては消えて行ったけど、なぜ俺が今もこうして残っているのかは自分でもわからない。必ずうまく行く方程式を知ってるわけじゃないからな」(19分08秒)
スコット:
「韓国でプレイした時のことなんだけど、トイレに行ったら壁に Keep The Faith って言葉が書かれてたんだよ。バンド、Warzone(ウォーゾーン)が言ってた言葉だよね。ウォーゾーンは大好きなバンドで、音楽的にはそれ程影響は受けていないけど全体的な雰囲気や歌詞、そして彼らが信じていたこととか、そういう面でテラーは凄く影響を受けたよ。ウォーゾーンは歌詞やTシャツのデザインとかにさっきの「Keep The Faith(信念を貫け)」って言葉をよく使ってたんだけど、俺的な解釈で言うとこの言葉は「どんなに困ったことがあってもあきらめるな」「ハードコア・コミュニティーで嫌な事があっても信じ続けろ」「ハードコア・シーンが流行で変わってしまっても、またいつか元通りになると信じ続けろ」「ハードコアを信じ続けろ」って意味なんだ。
だから韓国のライブハウスのトイレで小便をしながらこの言葉が目に飛び込んで来た時に思ったのは、「こんなに遠く離れた国でウォーゾーンを、そしてこの言葉を知っている人がいてクールだな」ってこと。そしてその瞬間に気が付いたんだよ。俺自身もハードコアに対する信念を貫いているんだから Keeper of The Faith (信念を貫く者) じゃないか!って」(55分50秒)
…という感じでかなりプライベートな話を色々してくれます。
他にもスコットがテラー以前に組んでいたバンドのライブ映像や、他のメンバーが語る「あなたにとってハードコアとは?!」など、ファンは必見の内容が収められたビデオです。字幕なしでも彼らの情熱がばんばん伝わってくるので、ファンのみならず音楽を愛するあなたはぜひ見てね。
Keepers Of The Faith をはじめとする、メッセージ性の強いテラー・グッズはこちらからゲットできます。
スコットもビデオの中で言ってたように、欲しいと思った瞬間に確保しておかないと永遠に後悔するのがバンドTシャツだから、マジで「これは!」ってのが有ったら速攻で申し込むように!